2012年1月22日日曜日

渋谷さんのメルマガで書いた日記。

去年の暮れに書いた、渋谷慶一郎さんのメルマガように書いた日記を、ここにも投稿します。

渋谷さん、日記を書く機会をくださって、ありがとうございました〜。


う〜ん、すでにとおいとおい過去のようだ。


◎10月1日土曜日

朝6時起床。不定期セレクトショップ「フィジカルテンポ」(http://p-tempo.posterous.com/)に出品するルアー・ピアスをつくる。昨晩つくっておいたルアーと金物を接合するゴムは乾いていたので、あとはピアスの部分をつけるだけ。作業を終えてお風呂に入り、お気に入りのブルーのワンピースに着替えて、青山にでかける。今日は、友人の井出有吾くんの結婚式なのだ! とてもシャレたレストラン。庭の樹木の大きさからして、ここは昔どなたかのお屋敷で、その建造物を立て直してできたのだろうな。人前式のさっぱりとした宴。井出くんはさっさと登場して、さっさと花嫁をむかえ、さっさと口づけして、わー!となった。人前での照れくささがかわいくて、とてもいい雰囲気。その後の料理も、CHATEAU GRINOUの白ワインもおいしかった。しかし、フォアグラと牛肉が出てきて、調子にのって食べてたら頭痛と吐き気が。私は(質のいい)牛肉やフォアグラのアレルギーなのです。味は大好きなだけに、自分の体質が悲しい。体調不良は、前日の飲み会(8月に行なった「モレモレ東京」というイベントの打ち上げ)で、中谷レーニン先生、元永二朗さんと上野でにっこりマッコリしたせいもあるのかも……昨日は昨日で充実したので、そのせいにはしたくないけど。披露宴が終わって、「フィジカルテンポ」の会場へルアー・ピアスの納品に行く。頭痛がひどい。Vacantでやっている大山エンリコイサムさんのライヴ・ペインティングを観るつもりだったのをひよって、自宅へ直帰。ドレスをスポポポーン!と脱いで、ベッドに飛び込む。夕方に起きたら、すっかり復活。11月にオーストラリアで開かれるグループ展の作品制作。夜は、お灸をしながらなにも考えない時間をつくる。就寝。


◎10月2日日曜日

昨晩のなにも考えない時間がとても効いたのか、爽やかな目覚め。朝から作品制作。お昼にはアルバイト先の職人さんとともに岸野雄一さんの家へうかがう。先週一週間、岸野家が所有している空テナントを借りて、オーストラリアに出品する新作のランニング・テストをさせてもらっていたのだけど、そのまま置きっぱなしだった荷物もろもろをピックアップ。メンチカツを入れたまま忘れていたコンビニの袋に小さな穴があいていた。ネズミだ。岸野さんのお父さんにお礼の挨拶をしたら、「おう」という気の抜けた江戸っ子流のお返事がかえってきた。いろいろとお世話になったお部屋にも感謝し、荷物を積み込む。帰宅後、オーストラリアの展示のための制作。夜はひさしぶりに自炊。先日北海道で買ったエボダイの干物を焼く。あの干物屋さんはすごかった。札幌場外市場の一角で、おかみさんが新聞紙を広げて手づくりの干物を売っている店。ふと天井付近を見ると、ブレーカーに鮭トバがぶらさがっていた! 「ああ、北海道に来たなあ」と思った瞬間でした。エボダイは脂がしたたって、とてもおいしかった。カボチャの煮物に使った、佐原の最上白味醂も素晴らしい。就寝。


◎10月3日月曜日

秋の爽やかな空気につつまれて起床。先週更新しておいたパスポート(ICチップ入り)をとりにいく。私は東京在住の神奈川県民です。川崎にあるパスポートセンターへゴー。東海道線に揺られながら、昨日食べたエボダイから北海道旅行のことを思い返した。旭川の街並みを見てなにかに似ていると思ったのですが、あれはベルリンでした。道路の広さ、ブロックの間隔とかね。北海道はなるべく毎年行きたいな。パスポートを受け取った足で地元のホームセンターへ。作品に使う材料を購入して帰宅。しばらく作品制作した後、足りない材料を買いに徒歩で秋葉原へ。道のりが秋の陽気できもちいい。鼻歌なんかもうたっちゃってたかもしれない。買い終えてtwitterをチラ見してみると、ちょうど3331 Arts Chiyodaで山川冬樹さんと港千尋さんのレクチャーがあるという情報が。さらに偶然なことに、今度オーストラリアのグループ展で一緒になる泉太郎さんも同じ場所で別のレクチャーをやってるとか。さっそく3331に向かい、ラウンジでビールを1杯飲んでいると、イスタエコちゃんと遭遇。ちょうどよいのでボストーク社にかるく寄って、先日の「フィジカルテンポ」の在庫をうけとる。たった一日でピアスが3個も売れた! とてもうれしい。その後、まずは山川さん&港さんのレクチャーへ。港さんとはちょーひさしぶりに会った。途中でぬけて、泉さんの講義もチラ見していたら「すみません。このシリーズの受講生ですか?」とスタッフの方から注意を受ける。どうやら有料講座だったらしい……。3331から御徒町まで歩き、上野で電車を降りて散歩しながら日暮里へ。夕食は、ロック好きな店長のもんじゃ焼き屋で。このお店に飾ってある酉の市の熊手は、ウチにあるものと同じ職人さんの作だった。酉の市には毎年行っているのだけど、スケジュール的に今年は二の酉だけになりそう。帰宅。就寝。


◎10月4日火曜日

今日も天気がいい~! 週末からはじまる展覧会「東京藝術発電所」のために東京芸術大学へ下見にでかけようと思ったが、どうやら開校記念日で全館おやすみとか。午前中は制作に専念することに。午後は渋谷へ。10月末にオープンする「シブカル祭」(http://www.shibukaru.com/web/)の会場下見。まだできてないパルコミュージアム。工事中の現場にやや興奮した。「すいません、この一角だけ工事中のままにしておくことはできますか? そのまま作品にしたいんで……」とかけあってみたものの、もちろん断られてしまってしょぼーん。でも、事前に会場を見ることができてよかった。ちらっとトーキョーワンダーサイトをのぞいてから、今日も地元のホームセンターへ材料の買い出しへ。買い物の最中、五所純子ちゃんから電話がかかってきたので、庭用テーブルセットコーナーにどすんと座っておしゃべり。帰宅後、高知県から定期的に送られてくる有機野菜がたまっていたので、カレーにする。おいしい。制作して、就寝。


◎10月5日水曜日

起床。昨日行けなかった東京芸大へ展覧会の下見に。会場となる大石膏室をプラプラ歩いていて、音楽学科の学生らしき人を見かける。バイオリン奏者とアコーディオン奏者。天井の高い部屋が楽器の響きを十分に含んで、とてもいい音が響いていた。部屋に射す自然光もとてもきれいだ。この光景をみて、作品展示のイメージが固まる。その後、銀座へアルバイトに。最近、なかなか行けていなかったので、野球の松坂選手の太り具合などなど、社長と世間話に花が咲く。その後、別の経理関係のアルバイトの打ち合わせ。11月からしばらく私がバルセロナに行ってしまうので、仕事の引き継ぎなど。夕方に帰宅。五所純子ちゃんから電話がかかってきたのでひとしきりおしゃべりした後、東京芸大の展覧会のための制作。昨晩つくったカレーを食べて、就寝。


◎10月6日木曜日

早朝に起床。作品制作。午後、タクシーで東京芸大へ作品を搬入する。夕方には会場が閉まってしまうので、ひとまず荷物だけ置いて歩いて帰ることにする。谷中を通りながらの帰り道、シャッターを開けっ放しにした、謎の音楽がかかったスペースを発見。外からぼーっと見ていたら「どうぞ、なかもご覧ください」と言われたのでおじゃますることに。いろいろ話しているうちにわかったのだが、なんとそこはWOODMANさんが最近はじめたギャラリー「Q-O-I」だった。そうか、この人がWOODMANさんか~。谷中銀座にある古本屋さん「信天翁(あほうどり)」をひやかした後、階下のバーのオープンテラスで白ワインを飲みながら明日の搬入のイメージをかためる。五所純子ちゃんと電話。帰宅後、ベーコンと大根の葉っぱのパスタ。スペイン産の生ハムをつついて、ソアベを飲む。オーストラリアのグループ展の制作をちょこっとだけして、就寝。


◎10月7日金曜日

早朝に起床。本日は東京芸大で「東京藝術発電所」展の設営作業。設営は、お祭りのはじまりみたいな感じがして、好きな時間です。一ヶ月前に展示のお話をいただいてから3回ほど下見にいったけれど、毎回、天井からの自然光とガッタメラータの馬頭の石膏像が気になっていて、今回、この二つの要素と一緒に展示できることがうれしい。一緒に参加するメンバーも楽しい人たちだ。山川冬樹さんは学部生時代にお世話になった助手さんだったし、池田剛介くんは大学院時代の先輩、小町谷圭くんは大学院の時の研究室も一緒だし、卒業後2年間は藤幡正樹研究室の同僚でもあった。西沢尚さん、大山エンリコイサムさん、大和田俊さんとは初めて一緒にやるけど、みんないい人だ。今回の展覧会は、ほぼ手弁当というか、イチから自分達でつくりあげなければならなかったけど、なんだか学生時代を思い出して懐かしくなった。自分の作品は夕方頃にほぼできあがったので、みんなのお手伝いや車での買い出しなど。ドライブ大好き! その後、展覧会の企画者である木幡和枝さんとひさしぶりにゆっくり話す。いつだってパワフルな女性だなあ。帰宅後、五所純子ちゃんから電話。夕食は、さつまいもを酒粕ディップで和えたものや、北海道で買ったホッケの干物など。お風呂にゆったりつかって、明日にそなえて就寝。


◎10月8日土曜日

早朝に起床、洗濯。東京芸大まで歩いて向かうつもりだったが、急遽、綴化サボテンをインスタレーションに加えようと思い立って、タクシーで運ぶことにする。それにしても今日はとても天気がいい! 上野公園は散歩客で埋まっていた。作品のまわりをていねいに掃除して、ゆるやかに「東京藝術発電所」展オープン(http://www.geidai.ac.jp/event/iculturetokyo/tokyoartpowerplant.html)。一段落したところで、出品作家みんなでランチをしにデニーズへ。ファミレスはなかなか行かないので、ちょっと気分がアガった。絶対に着色料が入っているなというくらい蛍光ピンクをしたタラコスパゲティと白ワインで、すっかり眠くなる。その後、展覧会場の前庭にあるテーブルでビールを飲んだ。ちょうど木幡さんもいたので2人でタバコをふかしながらダラダラとおしゃべり。ゆっくりとした午後。とてもひさしぶりにダラっとした時間。こういうの、大好きです。前澤秀登さんが展示写真の撮影に来てくれた。日が暮れてきて、差し入れにいただいたサバ寿司をつつきながら、まだまだビールを飲む。すっかり蚊にさされてしまった。夜になって、六本木スーパーデラックスへ。今日は映画『サウダーヂ』のイベント「サウダーヂ・ナイト」。湯浅湾やおにんこ!のライヴは見逃してしまったが、黒パイプのカオス具合が素晴らしい。このバンドはCDにもDVDにも記録できない暴力性が魅力的だなあ。この日のトリは、映画にも出演している甲府のラップ・グループstillichimiya! 「桃の里一宮」という曲がかわいい。ほんとにサイコーなイベントだった(映画『サウダーヂ』も爆音映画祭で観たけどサイコーだったので、みなさんもぜひご覧ください)。お腹が減ったので、湯浅学さん、boidの樋口泰人さん、斉藤フミちゃん、吉住唯くんとカフェエイトへ。すでにしこたまアルコールを摂取していたので、ジャスミン茶と飲茶で遅い夕食。樋口さんの不眠話に花が咲く。その後、片付けを終えた空族や黒パイプ、stillichimiyaの面々もカフェエイトに集結。相澤虎之助さんや富田克也監督と久しぶりにお話しできてよかった。終電を逃してしまったので、湯浅邸を経由してタクシーで帰宅。湯浅さんは明日、早朝から畑仕事だって。わたし最近畑に通えてなくて、申しわけないです。それにしても充実した日だった。帰宅後、3秒で就寝。


毛利悠子

1980年生まれ。美術家。消耗品や楽器を用い、独自の機械構造で動きや気配をつくるインスタレーションを制作、発表している。国内外展示多数。http://mohrizm.net/